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噛む犬の導き方

噛む犬のしつけは、ひとつの方法だけではありません。なぜ噛むか、それが攻撃性からなのか、防御反応からなのか、色々な視点から咬む原因を見つけ出すことが大切です。原因を探らずに手あたり次第しつけ方法を試しているのは逆効果です。ではどうしたらよいのでしょうか。

前回、犬の本当の幸せと題して

本当に必要なしつけについて書きました。

 

嬉しいことにとても反響があり、メッセージもいただきました。

 

「犬の本当の幸せはしつけから生まれる」

 

そのしつけが自分の大切な愛犬に適していなければ意味がない

 

 

そのことについて皆さん共感して下さったようで嬉しいです。

そして「咬む犬はどういうしつけが適していますか?」と質問をいただいたので

そのことについてブログを書くことにしました。

ここで咬むというのは「甘噛み」ではなく本気咬みのことです。

そして咬む犬をしつけるというよりは、

犬が人間を噛まないことを選択できるように導くと言った方が適しています。

咬む犬とひとことでいっても

その原因は様々です。

咬む原因を探らなければ、対処は見つかりません。

 

まずご自分の愛犬がなぜ咬むかを考えてみます。

飼い主さんたちから寄せられたご相談のいくつかを上げてみます。

 

1.咥えている骨を取られないために唸ったり咬む(咬もうとする)

 

2.お散歩中他の犬が怖くてパニックになって飼い主を咬む(咬もうとする)

 

3.お散歩中すれ違う犬や子供に攻撃的になって咬む(咬もうとする)

 

4.家族に抱っこされている犬に手を伸ばすと唸ったり咬む(咬もうとする)

 

5.寝ている犬のそばを通っただけで唸ったり咬む(咬もうとする)

 

6.ソファーにいる犬の隣に座ったら唸ったり咬む(咬もうとする)

 

7.撫でていたら突然咬む(咬もうとする)

 

8.耳掃除・爪切りをしようとすると咬む(咬もうとする)

 

9.何もしていないのに突然咬む(咬もうとする)

 

10.飼い主の靴下などを奪っていったので取り返そうとしたら咬む(咬もうとする)

 

その他にもベッドで寝ていたら、愛犬に噛まれ流血して起きたという方もいました。

 

 

犬は吠える、舐める、アイコンタクト、しっぽを振る、耳を動かしたりお腹を出して寝転んだりなどのほかに甘噛みや本気咬みをすることで感情を表現している動物です。

表現なのです。

人間にとってはとても痛い、また人に迷惑をかけたり、大けがの原因になったりと

絶対にやめてほしい表現方法なので

そのことを伝えるために原因を究明していきます。

原因究明する必要のあるものとそうでないものがあります。

咬むことで何もかも自分の思い通りになっているので、ただ手っ取り早く咬むことを選択しているだけのこともあります。

 

よく甘噛みと本気咬みとを混同されてしまっていることもあります。

甘噛みから本気咬みにつながることもあるとされていますが、それはありません。

人の肌に歯を立てることはだめだよって教えるチャンスとして甘噛みを利用することもあります。

また、甘噛みだとしても、それが出血するほどのものであれば加減を教えていった方がいいです。

叱りつけるのではなく、犬が人の肌に歯を当ててはいけないことだということを

理解していくように正の強化を使ってくださいね。

そして理解したらたくさん褒めてあげましょう。

 

マズルを掴んだり、口の中にグーを突っ込んだり、頭を叩いたり、そういうことは絶対にしないで下さい。

それで咬むことをしなくなるより、余計にひどくなることの方が多いです。

1.咥えている骨を取られないために咬む(咬もうとする)10.飼い主の靴下などを奪っていったので取り返そうとしたら咬む(咬もうとする) は、

所有欲からの行動なので、できれば子犬のうちから物に対する執着心を持つ必要がないと教えておきたいですね。

でも子犬に戻ることは不可能ですし取り戻せません。

愛犬に執着心と所有欲を持つ必要が無いことを教えます。

犬によっても教え方は色々ありますが、咥えて唸るだけで微動だにしない場合は、

その物と同じものを用意して気付かせて渡してあげる。

すると咥えているモノを離すのでそのタイミングで「おりこう!」と褒めてあげます。

おもちゃや骨ガムなどは出しっぱなしにせず、必ず飼い主さんが管理してください。

そして決して、咥えているものを無理矢理取ろうとしたり、追いかけてはいけません。

必ず自ら咥えているものを離すように導くことが重要です。

 

咥えて自分のハウスや物陰に隠れてしまう場合は、プロのトレーナーさんに依頼した方がいいでしょう。正の強化のみのしつけをしてくれるトレーナーさんを選択してくださいね。

2.お散歩中他の犬が怖くてパニックになって飼い主を咬む(咬もうとする) と

3.お散歩中すれ違う犬や子供に攻撃的になって咬む(咬もうとする)

は、

これも子犬の社会期(8週から12週)に他の犬や異種の動物、老若男女の人間と

安心と安全の中で接する機会をたくさん作ってあげていれば、起こらなかったことです。

でも今からでも間に合います。5歳でも10歳でも犬は素直に学習してくれるので

これはプロのトレーナーさんに依頼して欲しいです。

やり方を間違うと更に悪化してしまうので。

 

そして今すぐ飼い主さんができることは、吠えていたり咬もうとしている犬に

「うるさい」とか「静かに」など決して怒鳴らい事。

「大丈夫、大丈夫怖くないから」などと撫でたり抱っこしないことです。

 (撫でる=褒めている ことです。励まそうとしてる意図は伝わりません)

 

ずっと何年もこんなことを続けて直りましたか?

直っていないということはますます吠える、咬む子にしてしまったのは飼い主さんです。

抱っこすると咬まれるのなら、なおさら抱っこしないでくださいね。

 

パニックになる子には、犬が近づいてくる前に(パニックになる前)名前を呼んでこちらに集中させてオスワリなどの指示を出します。(おやつを使ってもいいのです)

リードをグイグイ引っ張ったり、大きな声を出すことはしないでくださいね。

「外ではオスワリしないんです」

「全然言うこと聞かないんです」

と嘆く飼い主さんが多いのでとても残念に感じています・・・・

厳しい言い方ですが指示に喜んで応える愛犬にしていないのは飼い主さんなのです!

それを可能にするためには普段から家の中でオスワリが一回の指示で100%できるように練習しましょう。

その努力が必ず実を結ぶ日が来ます。

その間にチョークチェーンやリードコントロールを使わない陽性トレーニングのトレーナーさんを依頼して下さい。

多分4回ほどのレッスンで吠えない、噛まない子になっていくはずです。

基本のしつけがとても大切ですし、飼い主さんとの絆も大切です。

犬の幼稚園など、他の犬との接し方、犬としてのふるまい方、ルールなどを学習させる機会も作っていくことも必須です。

4.家族に抱っこされている犬に手を伸ばすと咬む(咬もうとする)

これは、まずご家族と一致団結して「抱っこをしない」生活を作ります。

その子の年齢や性格によってはその期間は様々になっていきますが

短くても2ヵ月くらいは必要かと思います。

今までの習慣でついつい抱っこしてしまいがちになるのですが、一度抱っこしてしまったらまた最初からやり直しになります。抱っこしてしまった日から2ヵ月以上です。

頑張りましょう。

抱っこしない時期には他の方法でコミュニケーションを取りましょう。

ブラッシング、身体のマッサージも抱っこせずにマットやタオルの上でやります。

そして基本のしつけをしっかりやってアイコンタクトも自然にできるようになったら

抱っこのゴーサイン!

まずオスワリなどをさせて、指示に従ったそのご褒美に抱っこするのです。

そしてすぐに降ろす。

その練習は徐々に抱っこする時間を長くしていきますが同時にご家族がそばに来たり、

手を伸ばす練習もします。歯を見せたり唸ったらすぐに降ろします。

そしてまた抱っこしない生活に逆戻りですが。。めげないでくださいね。

可愛い愛犬のためなのですから。

 

抱っこしても、また手が伸びてきても落ち着いていられたら褒めてあげます。

簡単なようですが、ご家族との連携と協力、一貫性、そして忍耐が必要です。

でも必ず抱っこされていても噛まない犬になるのですから頑張りましょう。

なかなかうまくいかない方は、専門家に相談してくださいね。

5の寝ている犬のそばを通っただけで噛むというのは

そばを通らずに済む場所に寝る場所を決めてあげればいいのです。

犬用のベッドでなくてもバスタオルをいくつかにたたんで縫い合わせた簡単なものでいいので

犬の居心地のいい場所を部屋の隅の方に作ってあげればいいだけです。

 

理想は、犬のサイズに合ったクレートを置いてあげることです。

冬ならあったかクッション、夏なら冷感マットなどを敷いてあげましょう。

扉は外して、決して閉じ込めないでくださいね。

 

それでも唸ったりする場合は、プロのトレーナーさんの出番です(^-^;

6のソファーにいる犬の隣に座ると咬まれるのであれば

ソファーに上げなければいいのです。

その教え方はコツがあって、乗っちゃダメと怒鳴ったり騒いだりするのではなく

そこで生きてくるのがコマンドなのです。

基本のしつけをしっかりしていれば必ずできます。

ソファーに乗っている子を呼び戻しか「down」などのコマンドで呼び寄せ

褒めてやります。

そしてもしソファーに乗せたければ先に飼い主さんが座ってから、

ソファーに座ってもいいよと指示してあげれば咬まれません。

簡単そうでできない飼い主さん、たくさんおられます。。。

できなければソファーを撤去するのも一つの方法です。

7撫でていたら突然咬む は、撫でなければいいのです。

撫でてほしくないから咬むことで「やめて」と伝えているわけですから。

飼い主としてはスキンシップしたいと思い、撫でたい気持ちになるでしょう。

でも「撫でてほしくない犬」を撫でるのは飼い主さんの身勝手です。

どうしても撫でたいのであれば、撫でられることを喜びにできるよう導くしつけをしましょう。

飼い主も愛犬も撫でる、撫でられることがお互いの喜びになれば理想ですが、

無理強いするより、他の方法でコミュニケーションを取ることを選択してあげれたら

愛犬に対する本当の愛情ですね。

コミュニケーション方法はその子が喜ぶこと。それは犬によって異なりますので一概には言えませんが、家の中でいろいろなところにおやつを隠して「おやつ探しゲーム」をやったり、

飼い主さんと一緒に新聞を破いて遊ぶ「新聞ビリビリゲーム」、

ティッシュの箱などつぶしてもらう「箱つぶしお手伝い」など色々ありますよ♪

 

その子の気質や遺伝もあり、撫でられることが元々嫌いな子には無理強いはやめましょう。

保護犬などで、虐待のトラウマで触れられることが苦手になった子などはほとんどが修正可能ですが専門家に相談してくださいね。

8.耳掃除・爪切りをしようとすると噛む

これもよくあるご相談です。耳掃除や爪切りが好きな子は99%いません。

噛まない子でも、仕方なく受け入れているのです。

痛い経験をしたりていれば用心深くなりますし、身体を固定されて

無理矢理何かされているので、警戒心の強い子は爪切りを出してきただけで唸りはじめたり

隠れたり・・・

特に爪切りで一度でも出血するほど切られたりしている子は、プロに任せた方が無難です。

どうしても、自分で爪切りがしたいのであれば

根気強く爪切りを受け入れられるようにしていかなければなりません。

どうやって受け入れられるようになるかを見極めるにはやはりプロのトレーナーさんに見てもらわないとなりません。

耳掃除は耳の病気になりやすい子は特に必要なことなので、

飼い主さんができるようになることは大切ですね。

 

・無理矢理やらない

・リラックスさせる

・短時間でさっと終わらせる

・特別なご褒美をあげる

 

これができれば完璧です。

どうしても押さえつけないとできない飼い主さんは

プロにお願いしましょう。

保護犬はトラウマから咬んでしまうこともあるよ・・
保護犬はトラウマから咬んでしまうこともあるよ・・

 

 9.何もしていないのに突然噛む

飼い主さんにとっては何もしてないつもりでも

愛犬にとっては何かをされる恐怖心があるかもしれません。

犬は先を読む能力が高いので、こうしてこうなるとこうされる!!ならば、噛んでやる!!となっているのかもしれません。

また保護犬にはよくありますが

過去のトラウマがそうさせていることもあります。

やられる前にやってやる!

(人間側の責任ですね(T-T*)トラウマを解消できるリハビリをしましょう。)

 

唸らなくても犬のカーミングシグナルが必ず出ています。

目つき、耳の位置、しっぽ、身体の硬さ、毛、何かが必ず出ています。

犬のカーミングシグナルを勉強して下さい。

そうすれば、何もしていないのに(していないつもりなのに)突然噛まれることはなくなります。

犬によって、そのシグナルの特徴は違ったりしますので

ご自分の愛犬のカーミングシグナルがどいうものか観察してください。

長毛犬では、毛が逆立っているのが分かりにくいこともありますし、垂れ耳の子の耳の硬直加減も分かりにくいこともありますが、普段と違う状態になるので普段いつも一緒にいる飼い主さんならわかりやすいでしょう。

 

そしてどんなタイミングでカーミングシグナルが出ているかをご家族で把握して

そういう場面にならないようにする工夫も必要になってきます。

 

たとえ噛んだとしても、それはカーミングシグナルを見逃した飼い主の不注意だったと

考えて下さい。

決して叩いたりしないで教えていきましょう。

噛む犬に多いカーミングシグナル一例

・しっぽに力が入っていて小刻みに振っている

しっぽの毛が逆立っている

・耳に力が入っている(立っている時も倒れている時も)

・視線を外しながら微動だにしない

・こちらを凝視して微動だにしない

・身体が固くなっている

・口の周囲の筋肉が固くなっている

・1点を見つめてじっとしている

・犬歯を見せる

どんなに目を凝らしても、カーミングシグナルがわからないという方は、やはり専門家に見てもらいましょう。

確率は低いですが、脳に障害がある子もいます。

その場合は動物行動学専門の獣医師にも相談が必要になってきます。

 

可愛い愛犬が、噛んでくるのは飼い主にとってはつらいものです。

痛みも伴いますし、愛犬に対して恐怖心も芽生えてしまうでしょう。

保健所に持ち込まれる犬のうち、理由が「噛むから」というものが第1位の県もあそうです。

 

噛むから捨てる・・・

 

こんな悲しい方程式はなくしていきたいですね。

咬む犬にしてしまったのは、紛れもなく飼い主さんです。

それを犬のせいにしないで欲しいといつも思っています。

飼い主さんが変われば、そして努力していけば、必ず直るのですから。

心を入れ替えましょう。

愛犬との幸せな共生は、愛犬を理解することから始まり、接し方導き方で始まります。