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犬のしつけと主従関係の誤解

ひとことで「犬のしつけ」というと、

「厳しくできない」「犬が可哀想」と言われる方は少なくないと思います。

日本語はとても難しいですね。

 

しつけとは

 

犬と飼い主さんの意志疎通のツールです。

人間と犬との信頼関係を育むものです。

 

また「犬との主従関係」はタブー視されるようになってから久しいですが、

主従関係ではなく「犬の良き先導者でありましょう」というとしっくりくるかもしれません。

 犬は「群れで生きる動物」です。

その中に信頼できるリーダーがいてくれると精神的に落ち着いている犬になります。

「しつけ」とは、その群れのルールを教えることです。

 

今「しつけ」をしないことを選択している飼い主さんや

「しつけ」と「虐待」を混同している飼い主さんもいることが気になり、

セラピードッグトレーナーとして、どういう風に犬の良き先導者になれるのか、

ブログに書くことにしました。

 

愛犬がいつも穏やかでリラックスして過ごし、

飼い主さんを信頼、尊敬、尊重できるように導いていくことがしつけです。

犬の心の安定と安心や安全に繋がることをどうしてもお伝えしたいのです。

 

では、その「愛犬の良き先導者」とはどういうものなのかをお伝えしようと思います。

それは難しいものでも厳しいものでもありません。

無駄に吠える、唸る、咬む、いたずらする、家中トイレ、他の犬に攻撃的、怖がり、玄関チャイムに大騒ぎなどの問題を抱えている愛犬の飼い主さんは、

どうしても必死になって色々なしつけ本やネットで氾濫しているしつけ方法を試しまくってしまいます。

 

そして益々エスカレートしてしまい、

私にご依頼いただくことが多いのが現状です。

 

どんな方法も、愛犬に合っていなければ良薬にはなりませんし、色々なしつけ方法を試しまくっていて、愛犬が混乱して飼い主さんに不信感を抱いてしまって、逆に悪化しては意味がありませんね。

 

ず方法を選択する前に

 

・愛犬の性格

・問題の原因

・住環境や家族構成

・愛犬にどうなって欲しいのか

 

この4つをまず考えていただきたいです。

愛犬の性格を把握しよう

よく耳にするのが

 

「うちの子、ビビりなんです」

 

本当にビビりなのでしょうか。

 

ビビりなんですと言われた犬をよく観察していると

私にはビビりではなく、犬が混乱または不安を訴えていると感じることが多いです。

 

どういう態度でいることが正解なのかを知らないと言った方が正しいかもしれません。

たとえば、来客に後ずさりしながら吠えている犬は

 

「誰だよ、おまえ、誰なんだよ!!!勝手に僕のテリトリーに入ってこないでよ~~~」

 

と言っていると判断します。

 

ビビりならば、部屋の隅に隠れたり、震えたり、固まったり・・・

恐怖心からパニックになれば最悪は飛び掛かってきたりします。

 

 

犬の性格を判断するときに、近い距離にいつもいる飼い主さんだからこそ

「誤解」してしまっていることが多いですね。

 

生徒さんの多くが悩む来客時の吠えは、半分以上はビビりではないですね。

なのでワンちゃんに「テリトリーを守らなくても大丈夫だよ」と教えることで、

来客時の吠えは改善されます。

 

お散歩中に他の犬に吠える犬も「ビビりなんです」と言っている飼い主さんも多いですが

ビビりで吠えているのではないかもしれません。

 

遊ぼうよ~~こっち来て~かもしれませんし

こっちに来るな~~咬んでやるぞ~~~かもしれません。

 

それはその犬のカーミングシグナル(しっぽ、毛、口元、耳の位置などのサイン)と

吠え方を見ればわかります。

 

ビビりで吠えているのか、そうでないのかをしっかり見極めることで

伝えることが違いますし、どうしたらいいいのかを導くことができます。

ご自分の犬の本来の性格を第三者の目で見てみましょう。

 (それには少し犬の行動学を学ぶことが早道です)

 

 また成長過程で一過性のものもあります。

その時期に、頭ごなしに叱ったり、反対に撫でてしまったことで

その状態がひどくなってしまったり、定着することもあります。

 

その時の接し方導き方が大切なのです。

愛犬の性格をしっかり把握したら、今度はその問題の原因を探る必要があります。

 

「大丈夫って言い聞かせているのに

わかってくれないんです」

 

え?って耳を疑います。

本気で言っているのでしょうか?

 

言い聞かせてわかってくれるのなら

何も苦労はいりません。

犬は人間の言葉を理解しているのは短い単語のみです。

長々と話してわかることはありません。

 

犬は人間ではありません。

 

説教しても言い聞かせても、反省したり理解することはありません。

 

こんなことを書くとまた

「うちの子はわかっています」

「全て私の話を理解しています」

と言われる飼い主さんもいると思います。

 

わかっているように見えているだけです。

 

わかっているならば、飼い主さんの言い聞かせたことを理解し、

飼い主さんが望むような行動をしてくれるわけですから・・・。

 

 理解してもらうには、しっかり日頃から正の強化で正しいことを教えて導いてあげていなければ

何も伝わることはありません。

ただ、叱られて恐怖心か混乱しか学習しないという結果になるのです。

飼い主さんと良好な関係性を作れている犬たちは、

精神的にも安定していて落ち着いています。

犬ですから吠えることもあるでしょう。

 

怖いこともびっくりすることも色々あるでしょう。

 

でも、その時に安心していいんだよって伝えられる方法を飼い主さんが知っていることで

犬は益々飼い主さんを信頼し、敬意をもって接してくれるようになります。

 

何度も言いますが、それは言葉ではなく

適切な指示(アイコンタクト・コマンドやハンドシグナル・ボディランゲージ)です。

 

しつけは、犬と飼い主さんの意志疎通のツールです。

人間と犬との信頼関係を育むものです。

 

可哀想なのは、何も教えてもらえない犬、

大好きな飼い主さんと幸せな共生ができるように、導いてくれる人がいないことです。

またしつけを誤解して、虐待まがいなことをされているワンちゃん・・・

 

正しい知識を持ってしっかりと愛犬を幸せにしてあげられる飼い主さんでいたいですね。

 

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