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怖がりの犬を励ましてはいけない?

以前にも「ビビりなんです」という飼い主さんについてブログを書きました。

吠える、固まる、歩かないなどお散歩でのビビりを嘆く飼い主さんがとても多く

ご依頼いただくトレーニングのひとつです・・・。

 

でもカウンセリングに行くと

大体が「ビビり」ではないことが多いのです。

 

ですから、これから書く内容は、ビビり、怖がりの子に対してですので

愛犬が本当に怖がりなのかを知ることから始めて下さい。

ご自分の愛犬の本当の性格を知る方法は、犬のカーミングシグナルやストレスサインを勉強する必要があります。

そして生後12週までの社会化の時期に何ができて何ができなかったのかも

分析していく必要があることも出てきます。

ご自分の愛犬がいかに幸せに満たされて過ごせるか、飼い主さんと幸せな気持ちを共有できるか

そのために擬人化した考え方を変えていくことも必要です。

怖がりの犬を励ましてはいけない?

恐怖心や不安で震えたり吠えたりしている犬を

「励まそうとして」

 撫でてはいけません。

(もちろん抱っこもNG)

 

恐怖心や不安でいることを褒めら、認められたと勘違いしてしまうからです。

 

犬と人間とは違います。

 

よく見かけるのが、ドッグランに初めて来たのか、震えて固まっている愛犬を

抱きしめたり抱っこしながら

「大丈夫、怖くないから、みんな優しいのよ」などど言いながら撫でている飼い主さん。

 

撫でられることが好きなワンちゃんにとっては撫でられることは

「怖がって震えていることを認められた褒められた」となります。

 

いつまでたってもその態度が治らないどころか、ますます悪化してしまいます。

 

撫でられることがあまり好きでないワンちゃんにとっては、

「怖い上にずっと撫でられ、ますますここが嫌いになった」となってしまいます。

 

励ましたいのなら、まず飼い主さんが穏やかで落ち着いた心理状態を保ちましょう。

 

そして怖がる愛犬に同情して撫でるのではなく

愛犬の良い変化を信じて穏やかな気持ちを保ちましょう。

 

どうしても何かしらのアクションを起こしたい時は

犬の肩や胸をポンポンと軽くたたいて下さい

(泣いている赤ちゃんの背中をポンポンしてなだめる時と同じ要領です)

 

そして落ち着いてきたら、リードをつけたままドッグランの外周を歩くことから始めてください。

 

言葉を持たない犬はエネルギーが全てです。

飼い主さんが緊張感や不安感を持っていれば、それをネガティブエネルギーとしてとらえ、

飼い主さんを守ろうとしたり飼い主さんと同じような心理状態になり、

問題行動はどんどんエスカレートしてしまいます。

 

また犬は感覚で現実を理解します。

同じ場所に飼い主さんといたとしても、人間が経験する世界と犬のそれとは同じではありません。それは犬と人間では生まれつき備わった本能と脳の働きが違うからです。

 

人間が視覚から色々な情報を得るのとは違い、

犬はまずその場所、人、動物などのエネルギーを感じ取り、次に嗅覚で情報を知ろうとします。

 

その次に聴覚、最後に視覚から情報を得て現実を理解するのです。

 

 

犬も人間扱いされていると、この順番が狂ってしまい、

視覚や聴覚からの情報だけに振り回され、

犬の本能が満たされず問題行動の根源となることもあります。

 

そういう犬の場合は、犬としての本能を取り戻すトレーニングもあります。

本能を刺激するだけで問題行動が軽減していくこともあります。

 

たっぷりの運動、アジリティーやドッグランで走らせる、

鼻を使ったゲームなども効果的です。

 

問題行動の多い子は、産まれてから一度も自由に走らせてもらったことがないという子が多いです。

理由を聞くと「リードをはずすなんて怖くてできない」・・

 

大好きな飼い主さんに信じてもらえてないなんて、哀しいですね。

 

そういう子ほど、走らせるだけで従順さを取り戻した事例もたくさんあります。

狩猟犬などはボール遊びやフリスビー、おやつはどこだ?ゲームなどで本能を満たしてあげましょう。

 

そして犬は、「今この瞬間を生きている」ということを忘れないで欲しいです。

これを忘れてしまうと、うまくいはずのくトレーニングもうまくいかなくなります。

 

例えば、聴力や視力を失ったり障害を持ってしまっても、

犬はそのことを嘆いたり、未来を悲観的に考えて死にたくなるなんてことは決してありません。

自分を憐れんだり気に病んだり、誰かを恨んだり、後悔するといった無駄な時間は持たないのです。

ただ淡々と残された能力で対処していくだけです。

目が見えなくても「オスワリ」や「フセ」「マテ」ができるようになって

飼い主さんにとても褒められて「自信」を回復していく犬を何頭も見てきました。

私たち人間が犬を見習わないといけないと感じるほどです。

 

実例はこちら

 

◎犬に同情しない

人間は過去にとらわれてしまいがちで、震えたり吠えまくっている愛犬が可哀想になったり

また虐待を受けた保護犬や病気になってしまった犬などに同情したり憐れんだりしてしまい

「可哀想に・・・」と撫でたりしてしまいます。

そのネガティブな感情を向けられ、更には撫でられた犬は、そのことでどんどん不安定になっていってしまうのです。

 

よく「この子は去勢手術後に変わってしまったのです」という飼い主さんも少なくなりません。

確かにホルモンバランスが変わることで一時的にイライラしたりする子もいます。

それより何より

入院、手術後の愛犬に「痛かったね、可哀相に、ごめんね」などというネガティブなエネルギーを飼い主がたくさん注いでしまった結果なのです。

病気になってしまった愛犬を心配し過ぎるのもよくありません。

心配するよりワンちゃんをいかに安心させてあげるかに意識を持っていた方が、痛みや苦しみも軽減するのです。

 

殺処分寸前の保護犬を家に迎えて「可哀想な子・・」と接しているうちに

問題行動が出始めることもあります。

そしてまた保護団体に戻されるという悲しい結末になることもあります。

 

また多頭飼いのご家庭では、一番年上の高齢犬が亡くなってから

他のワンちゃんの問題行動が現れて

「やっぱりこの子たちも悲しいからなんですね」と涙する飼い主さん・・・。

確かに群れの一員が突然いなくなって不安定になることもあります。

でも、大きな原因は飼い主さんの悲しみ、後悔、寂しさのエネルギーを毎日毎日感じ取り、

遺された犬たちがどんどん不安定になったということなのです。

 

その証拠に、飼い主さんが「ペットロスケア」を受けて下さり、前向きになった途端、

犬たちが落ち着き、問題行動が無くなったのです。

 

その他、怖がりのワンちゃんに同情はまずます悪化さえてしまいます。

詳細はこちら

ではどうしたらいいの?

怖がりの子に安心させてあげるには

・同情しない

・飼い主がリラックスする

・声を出さない

・撫でない

・落ち着くまでその場を動かず待つ

 

その上で、どうしても何かアクションを起こしたい衝動を抑えられない方は

犬の胸や肩を優しくポンポンと叩いてください。

 

泣きじゃくる赤ちゃんの背中を優しくポンポンしてなだめるイメージです。

強すぎても弱すぎても早すぎても遅すぎても効果が半減しますので

実際、レッスンではその子の身体の大きさ、心理状態をみながら

飼い主さんにその「ポンポン方法」をお伝えしています。

なので、ここは飼い主さんがその子に合ったポンポン方法を接しながら見つけていくという設定で書いています。

 

愛犬に合ったポンポン方法を見つけられて少しでも落ち着いてきたら

嬉しくなりますよね。

愛犬に合ったポンポン法でなくては意味がありません。

それがわからない場合は、何もアクションを起こさない方がベストです。

待ちましょう。

 

この、待つということができない飼い主さんがとても多く、待っている間に

犬よりも不安定になったりイライラしたり、諦めてしまうのです。

これでは何も意味がないどころか、悪影響です。

犬に「マテ」を教えているのだから私たち飼い主も「マテ」を頑張りましょう。

 

待っていれば愛犬の震えは止まり、リラックスするその瞬間は、

必ず訪れます。

必ずです!

 

犬が「落ち着く」とは、全身の力が抜けて、股の間に入ったしっぽが出て

全身柔らかな状態になり、

見開いていた目がいつもの表情になったりと

いつも愛犬と一緒にいる飼い主さんなら必ずわかります。

 

緊張状態で恐怖心を全身で表していた愛犬が落ち着けば

飼い主さんは嬉しいですよね。

 

その嬉しい気持ちを伝えるために

愛犬が一番大好きなオヤツを笑顔で与えて下さい。

そのおやつを食べなければ、まだ落ち着いていない証拠ですので

まだ落ち着くまで待つことを選択してください。

 

待っている間は、戸外であるながらば持っているリードに力を込めないことも大切です。

その場を逃げようとリードを引っ張る場合は、腰などに繋げてこちらの力みを

リードを通して伝えないようにしてください。

どうしても声をかけたい気持ちになりますが、言葉を発しない方が早く落ち着けますので

声をかけたい衝動を耐えて下さいね。

 

落ち着いたら、「お利口!」と言っておやつをあげましょう。

その時も撫でません。

撫でたい気持ちになりますが、撫でません。

 

オヤツを食べられるようになったら、オスワリのハンドシグナルを出してみましょう。

声に出して「オスワリ」を言わない方がこの時点ではいいと思います。

(ハンドシグナルをご自宅で教えておきましょう)

 

ハンドシグナルを出して座ることができたら、ここでやっと撫でましょう。

(撫でられることが好きな子に限ります)

 

オスワリができたら、その場を移動しましょう。

ここまで、もしかしたら10分、20分、30分、1時間かかるかもしれません。

でも、怖がって震えたり吠えたりしている時にその場から移動してしまうと、

怖がりを助長させてしまうということなので

待つ時間に余裕を持てない時は、怖がる場所には行かないでくださいね。

 

飼い主さんの心と時間に余裕がある時に「苦手克服、怖がり緩和練習」をしてください。

その他、飼い主さんに集中して外部の刺激を緩和するやり方や

黙々と歩くやり方など愛犬の性格や怖がる理由などによって

違ってきます。

 

飼い主さんの勘違いで益々怖がりが助長してしまわぬよう、

陽性トレーニング(正の強化のみ)をやっているドッグトレーナーさんに依頼することが一番の早道です。

お金もかかりますし、時間もかかりますが、愛犬の幸福と心身の健康のためですので、ぜひ実践してくださいね。

 

まだ子犬の場合は生後12週までに「正しい社会化」(←これが意外と難しい)をすることで

怖がりな犬にしないで済みますので、専門家に依頼してみましょう。

 

5才でも10才でも「社会化のやり直し」は可能です。

怖がりのままにしておくより、安心することを伝える方が犬の生涯が幸せですよね。

諦めないでいただきたいと心から思います。